「君がアル君かな？」

家でのんびりとしていた所に、スーツを来た長身の男が突然僕の家に現れ尋ねてきた。

「はい、そうですけど…何かご用ですか？」
（何か怪しそうな人だなぁ）
僕は内心そう思いながらも社交的に振る舞った。

「初めまして。私は【世界救済委員会】の者です。
調査の結果、君が世界を救う【キーブレイカー】である事が判明した。」
男は事務的に淡々とそう言った。


「はぁ？」

たぶん僕が今まで生きてきた中で一番間が抜けた声を出したと思う。

男の人はこちらの反応に構う事なく、言葉を続けた。

「信じる信じないは君の勝手だ。
だが、ほんの少しでも信じる気持ちがあるのなら、ここを訪ねてくれたまえ。」


男は名刺を渡してきた。名刺には、世界救済委員会委員【スイン・アービィ】、それに委員会の所在地が記してあった。

「わ、分かりました。」
僕は名刺を受け取り何とかそう答えた。

スインと名乗ったその男は、名刺を僕に渡すとさっさと帰ってしまった。

「え…何…かき回すだけかき回して自分はあっさり居なくなるって…。

世界救済よりも、今の僕を救済してくれよ…」


…世界が壊れるよりも先に平穏な日常が壊れてしまった…。