それから 何度も瑠璃ちゃんに罵声を浴びせられるのを受け入れていた。

瑠璃 「兄を返してください!」

幸輔 「申し訳ない・・・」

瑠璃 「上官なら責任とってください! なぜ貴方は生きているのですか!? 死んで兄に謝って!」

瑠璃ちゃんは 立ち上がり 大所に向かい包丁を持ってテーブルに置いた。

それを見た 美枝子さんがお願いを破って怒った。

美枝子 「いい加減にしなさい!!瑠璃!」

瑠璃 「おばさんには私の気持ちは分からない! こんな人のせいで兄が無駄死にしたんですよ!!」

それを聞いて 俺は怒鳴ってしまった。

幸輔 「寛治は無駄死にではない!!! 貴方が・・・それを言うのは寛治がした事を無いことにしてしまう・・・」

軍隊持込みの 怒号が部屋に響いた。

瑠璃 美枝子 「・・・・・・」

俺は あの時の事を説明しだした。

特攻出撃の前 寛治が機体を交換してくれと 切に願った事。

寛治との信頼関係は揺るぎないもので 安心して背中を任せられる僚機だった事。

寛治達と別れ際 本物の笑顔で行った事。

それを説明すると 瑠璃ちゃんが泣き始めた。

幸輔 「俺も寛治達と行きたかった・・・ 大切な部下だけで行かせてしまったのは・・・悲しかった・・・」

瑠璃 「ごめんなさい・・・そうですよね・・・兄と生命を削って戦ってたんですよね・・・ 手紙にも書いてありました・・・信頼できる上官が居ると それが貴方だったんですね・・・」

幸輔 「はい・・・」

しくしくと泣く 瑠璃ちゃんを美枝子さんが寄り添っている。

暫く語らって 俺と美枝子さんは家に帰った。

それから 数ヶ月達 この沖縄も戦場になってしまったんだ。