零戦の高度が下がって行く 舵を操作し必死に垂直にしながら目前に畑がありそこに不時着することにした。

幸輔 「くっ!上手くいってくれ!」

どんどん 地面が近づいてきた 地面がに落ちた途端強い衝撃に襲われた。

幸輔 「ぐっ!」

ドン!ズサササササササ!!

暫く滑り止まった機体から ハッチをスライドさせて機体から降りると 目の前に農家の人がいた。

農家妻 「だ 大丈夫ですか!?」

幸輔 「ぐっ・・・大丈夫」

その人の元にフラフラと歩いていくと 目前で意識を失い 倒れた。

農家妻 「軍人さん!うわっ!」

倒れる俺を支えようとしたが 支えきれずに倒れて押し倒す状態になってしまった。

農家妻 「ちょっと!貴方!来て!」

山のなかから 1人の男が降りてきた。

農家妻 「この人を家に連れてって!大怪我してるから!お願い!」

農家夫 「わ わかった」

俺は 農家夫に担がれてる家に向かった様だ。

布団に寝かされ 農家妻に手当を受けて一命を取り留めた。

暫く目を覚まさなく 農家妻が献身的に看病してくれた甲斐があり俺は目を覚ました。

幸輔 「ううっ・・・ここは?」

農家妻 「目を覚ましましたか 軍人さん」

幸輔 「貴方は・・・?」

農家妻 「私は 美枝子って言います 貴方は?」

幸輔 「私は 日本帝国陸軍の幸輔と申します」

俺は 自分の自己紹介をした。

美枝子 「私達の畑に落ちてきたんですよ?びっくりしました」

幸輔 「すみません・・・大事な畑に・・・」

美枝子 「気にしないで また耕せば良いだけだから」

幸輔 「この身体が治ったら手伝います 」

大事な畑をめちゃくちゃにしてしまったから 申し訳がなかった。

美枝子 「そうですか それじゃお願いします」

幸輔 「わかりました 暫くご厄介になります」

俺は頭を下げた。

暫くしして 夫が帰ってきて夕飯になった。

美枝子 「ご飯で食べましょ?」

幸輔 「はい 頂きます」

俺はテーブルに座ると 夫も美枝子さんも席に付いた。

美枝子 「あっ この人の紹介忘れてました 私の夫がで吾作です」

吾作 「よろしく 基地に帰る手段が見つかるまで家にいなさい」

幸輔 「すみません・・・宜しくお願いします」

美枝子 「幸輔さんのいくつですか?」

幸輔 「今年19です」

吾作 「若いな 階級は大尉か 部隊名は?俺も日露戦争に出征してたんだ 運良く生きて帰れた」

幸輔 「そうなんですか・・・無事に帰れてよかったです 私は 神風振武隊第一部隊 隊長 幸輔です」

美枝子 「その年で 部隊を束ねてるんですね・・・」

吾作 「そう言えば 2軒隣の谷さん所も陸軍に出征したよな?」

美枝子 「谷さん所の息子さんね そうですよ」

俺は 谷と聞いて 引っかかるものがあった。

幸輔 「谷って 息子さんの名前はわかりますか?」

美枝子 「 寛治さん 谷 寛治さんですよ」

俺は それを聞いてビックリした。

こんなところで 寛治のふるさとに居るとは思わなかった。

幸輔 「驚かないで聞いてください 私の2番機が 谷 寛治なんです」

美枝子 「えっ!本当ですか!?」

吾作 「本当か!?」

幸輔 「本当です・・・今日・・・私達は戦場に向って飛んでいました 出撃前に 寛治が私と自分の機体を交換してくれと言い 交換して 出撃しましたが 途中で私の機体が故障しまして あの畑に不時着しました・・・寛治と大事な部下だけで特攻に行かせてしまいました・・・」

それを話していると ぽたぽたと涙が手の甲に落ちてきた。

何で俺だけ残してお前達だけで特攻していったんだと悔しくて悔しくてしかたなくて 泣きに泣いた。

泣いてる間に 美枝子さんが背中をさすってくれていた。

吾作 「寛治は亡くしてはならない人だと思ったんだな・・・だから貴方は何がなんでも生きないと行けないんだ 散っていっ僚機の為にも生きなければ」

幸輔 「そのつもりです・・・ 寛治のご両親に話をしたいです」

美枝子 「寛治さんのご両親は先の戦争で亡くなってます・・・今は妹の瑠璃ちゃんと暮らしてます」

幸輔 「妹さんと話をさせて欲しいです」

美枝子 「そうですか・・・夕飯後に行きますか?」

幸輔 「お願いします・・・」

それで、ご飯を食べ終えて 俺と美枝子さんが寛治の家に向かった。

一軒の平屋について 美枝子さんがドアを開ける。

美枝子 「こんばんは!瑠璃ちゃんいる?」

置くからはーい!と聞こえてきた。

瑠璃 「あっ!おばさん!とこの人は?」

美枝子 「この方が瑠璃ちゃんに話が有るんだって 上がっていい?」

瑠璃 「どうぞ 茶の間行きましょ」

瑠璃ちゃんは 寛治と年が変わらないくらいな感じだった。

茶の間に通されて 俺と美枝子はテーブルに座ると 瑠璃ちゃんがお茶をいれてくれた。

瑠璃 「話って何ですか?」

幸輔 「谷 寛治は貴方のお兄さんですか?」

瑠璃 「はい 寛治は私の兄です 兄がどうかしたんですか?」

幸輔 「気をたしかに持って聞いてください・・・寛治は俺の部隊の2番機で今日特攻していきました」

瑠璃 「特攻・・・?ってなんですか?」

瑠璃ちゃんは特攻の意味が分からないようだ。

幸輔 「特攻は 自らの戦闘機に爆弾を乗せて 敵艦に体当たりする作戦です・・・今日 定かではないですが 戦死したと思われます・・・」

瑠璃 「えっ・・・」

辛いけど説明しなければならない。

幸輔 「私は 寛治含め3人の僚機だけで特攻させてしまいました・・・それなのに私は無様に生きながらえてしまいました!申し訳ない!」

俺は 瑠璃ちゃんに土下座して謝ったが瑠璃の放った言葉に俺はこの何も言えなかった。

瑠璃 「貴方は・・・なぜ生きてるのですか・・・?なぜ わたしの唯一の肉親の兄が死んで貴方が生きてるの?」

幸輔 「・・・・・・」

美枝子 「ちょっと・・・瑠璃ちゃん」

瑠璃 「おばさんは黙っていてください 私はこの人とはなしてるのです!」

美枝子 「・・・・・・」

俺は 美枝子さんに何も言わないでとお願いした。