−出会い−


「好きです。好きです。好きです。…」

何回も心の中で唱える。
好きという言葉を繰り返すたび、体のあちこちが火照り出す。
手に人という字を何回書いただろう。
手袋に染み込んだ熱い息も人という字も雪で消されていくようだった。

「で、いきなりどうした?
寒いのに外来てなんて…。」

「あのさ、えっ、と。
…雪すごいよね!」

「っはは。なんだそれ。
俺なんのために呼ばれたんだよ。」

ほら、またそうやって
さりげなくかっこいいがやってくる。

「じゃなくて…


私、悠太が好きなの!」



言えた。
涙目だったかもしれない。
手も震えてる。
返事は、返事は…。



「ごめん、俺彼女いるんだ。
お前のこと嫌いじゃないけど、友達としか
見れない。


ほんとにごめんな。」


白い雪はまるでナイフのように、
私の心も体も傷付けていく。



ーーその時から、ずっと冬は嫌いだ。