訳ありですが何か?~桑の実~

四月一日 一輝は自分の手に添えられた私の手を見て問い掛けてきた。


「離してあげてください」

「え?」


「離せ」

私は一輝さんに強く申し出た。

人に向けるような目つきではないことくらい理解していた。


でも、そんなことを躊躇せずしてしまうくらいには、私にとって渉は大切な存在だ。

彼は驚いた顔を見せたが、渉のネクタイから手を離すことを知らないようだった。


だから…

「、!?」


私は身を乗り出し、逆に四月一日 一輝のネクタイを力の限り引っ張った。