「あのさ・・・」

ためしにビトのことも話してみようかなと、ふと思った。この人は色々知っていそうだったから。

「なんだよ・・・」


「私たちってやっぱりおかしいのかな?」


ちょっと間が空いて、私はとうとう話し出した。

「もう三年も付き合ってるのに、何もないんだよね・・・」


「ああ、ビトとやってねーってこと?」

そうハッキリ言われて、急に恥ずかしくなって顔がほてってくるのがわかった。



「大事にされてて良いんじゃねーの?俺にはよくわかんねーけど。」


エイジ君はそんな風に言って笑ってくれた。



ああそうか、大事にされているのか・・・

最近少女マンガを読んでいても、みんなすぐやっちゃう話が多かったりして、こんなもんなのかなとたまに戸惑ったりしていたけれど、そうだよな、純情系の話はずっとそんな話にはならないものね。

高校を卒業して、成人して、それからやっていくっていうのも自然な流れなんだろう。



でもなんだろう、私はそれでもなんだかモヤモヤしてしまうんだ。



「そんなもんなの?
だって、ビトのうちで二人っきりでいても、何もしてくれないんだよ?
それってどうなのかなーって、たまに不安になるもん。」

「なんだ、チャンスはあるんだ・・・」

そんな風にいわれて、ちょっとぶっちゃけ過ぎたかと後悔をしたけれど、


「お前から誘えばいいじゃん。」

さらっとそんな風にいわれて、「そんなこと出来る訳ないじゃん!」ってむきになって答えてしまった。


なんなの、きっとこの人は色々な経験をしてるんだろうなと、一瞬で想像できてしまって、なんだか恥ずかしくなる。何でも見透かされている気がしてくる。



「好きな女とやりたくねー訳ないし、きっとなにか理由があるんじゃねー?」



理由か・・・そんなこと考えもしなかったな。

きっとビトだって、私より経験しているはずなのに、NYの彼女と・・・
知ってるもの、ずっと仲良しの女の子がいたことも。

ビトは絶対にそういうことは言わないけど、彼のお母さんからちょっとだけ聞いてる。


「でもビトは、きっともう誰かとやってるもの・・・」




「なんだよそれ」

エイジ君はびっくりしている。
でもね、そういうのわかっちゃうんだよ、私って何だろ、嫌なことばかり敏感に感じ取ってしまうんだ。