ビトの柔らかい唇と、細くて長い指が、私の体中をめぐっていた。

なんだかいつもと違う、優しいようで激しいその動きが、少し怖い気もしたけれども、いつの間にか私も夢中になっていて、必死にビトにすがり付いていた。

大きな溜息のような声にならない声が続く。


ビトはずっと嬉しそうに微笑んで、私の頬をなでると、
「もっと感じて・・・」
とつぶやいてまた唇を重ねる。




けれども彼は、最後まではしてくれなかった。




「ねえ桃ちゃん、僕が大人になるまで待っててくれる?
それまでは、最後まではしないから・・・」



ビトのそんな優しさが、私を傷つける。

最後まで期待していた自分自身が、とても汚く思えて、なんだか悲しくなってくる。

そうだよ、ちゃんと知っていたじゃない、まだわたしたちは子供なんだって。
万が一のことがあってはいけないって、きちんとリスクに対して責任が取れない立場なんだって。




私は何も答えられなくて、そのままビトの胸の中で、静かに泣いていた。