指を3本失った私は、幸い直後に金子が帰ってきて、止血処置をしたことで一命はとりとめた。



でも、左手の握力が極端に減り、これでは仕事をさせるわけにはいかないと、クビを宣告された。



まだ仕事もしていないうちに、クビ。



だからと言って、家に帰るわけにもいかず、どこにも行く当てなんかない私は、一日中、このかび臭い場所にいるだけ。



出されたものを食べ、決まった時間にベッドに入れられ、あとは息をするだけ。



後悔はない。かと言って、清々しさももうない。



私には何も残っていない。3本の指から、私のすべてが流れ出てしまったかのようだ。