「とりあえず、ほとぼりが冷めるまでは、仕事はさせない。外出も許さない。ここでじっとしているんだ。」



「ほとぼりが冷めるのはどれくらい?」



「そうだな……。」金子が考え込む。



「3ヶ月か、半年か……下手をすれば1年という可能性もある。」



「ずいぶん長いね。」少し落胆した。



「じゃあ、その間私は殺しのテクでも磨いていようかな。」



「何もしなくていい。」と金子が言う。



「キミは勘違いしているかもしれないけど、俺たちは自殺に見せかける殺し屋じゃない。自殺したい人の自殺を手伝う仕事だ。せいぜい、自殺の場所を提供したり、薬を渡したり、木にロープを引っかけたりする程度だ。」



「死体の処理はどうするの?」



「それは僕たちの仕事じゃない。掃除屋に任せる。掃除屋は死体を解剖して、骨まで綺麗に処理したり、臓器を売人に渡したりする。」



「意外とちゃんとしてるのね。」



「そりゃそうさ。」紗栄子が割り込んでくる。



「そうじゃなきゃ、私たちはとっくにお陀仏だよ。」