シャワーから上がると、紗栄子が着替えを用意してくれていた。



「一着しかないんだから、洗濯は自分でしろよ。」



投げつけられたその服は、ジーパンに、上はチェックの赤のネルシャツ。白のドクロマークが入ったTシャツで、まるで、理系の男子大学生みたいな服装だった。



「……ダサっ。」



「こういう服は、顔も冴えない、リアルでも誰にも相手されない、ネットに逃げ込んで、アイコンを絵にして誤魔化してるような童貞野郎が依頼人だった時に、最期着てたもんだ。文句があんならあの世で言いな。超特急で送ってやるからよ。」



つまりこれは遺品らしい。サイズもLLで、ネルシャツを羽織れば、コートのようになる。



こんな動きにくい服装で、仕事なんてできるのだろうか。