「へいへい、どうした? またちびったか?」



紗栄子が煽ってくる。さっきとは違う、見下したような表情だ。



そんな紗栄子の顔を私はまっすぐに見た。そして、次に子豚を見る。



その子豚のお腹にバタフライナイフを振り下ろす。命が左手でバタつく。もう一度振り下ろす。そして、地面にたたきつけて、右足で押さえつけながら、刺す。何度も、何度も……。



血が手に付く。思ったよりも少ない血の絨毯の上に豚肉が転がる。それを見た紗栄子が「へえー、なかなか残酷じゃん。」と驚きの声を上げる。



「まあ、一先ずは合格かな。」



金子がそう言って、紗栄子が「よし、じゃあこれ、食おうぜ!」と言って、そのまま豚肉を丸ごとドラム缶の火の中に放り込む。



命の焼ける匂いが鼻をくすぐる。



手に残った命の消える感触が、まるで絶頂の余韻のように、心地いい。