そんな可哀そうなことを……と思ってしまった。



でも、いつも食べている豚肉は豚の命を奪ったものだ。この子豚を殺して、報酬として肉を食べる。スーパーで売っている豚肉を買って食べること、定食屋でトンカツを食べることと何が違う?



いやいや、そもそも私は人を殺すということをしたくて、メールをして、ここにいるんだ。食材を前に怖じ気づくなんて、ちゃんちゃらおかしい。



足元に投げられたバタフライナイフを手に取る。ゆっくり、ゆっくりと子豚に近づく。子豚は鼻を鳴らし、私の方を見る。目が合ってしまった。でも……。



紗栄子が檻の鍵を開け、子豚の後ろ脚を持って私に渡す。その顔は、まるでジュースを渡すときのように、無表情だ。



恐る恐る左手で受け取る。持った脚から命の鼓動が伝わる。



それを私は……。