「でも、かと言って、キミをこのまま家に帰すわけにはいかない。」
彼の目つきが変わった。ごく普通の高校生くらいの男子の目から、冷め切った暗い目に。月明かりがより一層その目を光らせ、おぞましく、身震いがした。
「キミは知りすぎた。ここで死んでもらう。」
この身震い、殺気だったんだと気づいたときには、目の前に彼の姿はなく、振り返ろうとした瞬間、首に何かが巻き付いた。
腕だ。その腕が強く私の首を締めあげていく。
息ができない。視界がぼやける。頭が熱い。意識が遠のきそうだ。
「悪いけど、これがこの世界のルールなんだ。」
口元からよだれが垂れそうになったその瞬間、私の意識はこの世界とはっきり遮断された_____