「殺しって儲かるの?」



「まあ、人や職種によるけど、一人なら不自由なく暮らせるかな。」



「そのお金は、やっぱり依頼者からもらうの?」



「いいや。」意外な返答が返ってきた。



「依頼者からは1円も取らない。自殺志望者の大半は負の遺産を抱えた金のない人たちばかりだからね。」



「じゃあ、どこから儲けるわけ?」



彼は変な間を置いた。



「世の中には、人が死ぬことで儲かる場所もあるし、逆に人が死ぬことで迷惑する場所もあるってことさ。人が死んで儲かる場所っていうのは、わかるよね?」



頷いた。



「多分、葬儀場とか人の死をお世話する場所だと思う。もしかしたら、病院もそうかもしれない。でも、人が死んで迷惑する場所っていうのは、ちょっと想像できない。」



「これは、不動産だったり、あとは、麻薬の密売や暴力団のように、警察に目をつけられると厄介なところだったりかな。近くで自殺があると、捜査の手が少なからず及ぶかもしれないからね。」



なるほど。



「でも、それが儲かる話と何の繋がりがあるわけ?」



「スポンサーさ。」



いよいよ世も末だと思った。