車内アナウンスが次の停車駅を告げ、ホームに滑り込むように電車がゆっくりとスピードを緩める。



そして、ドアが開いたと同時に、私は自らの身体をホームに放り出した。



たまらず、その場で立ちすくみ、口元を押さえ、歯を噛み締め、必死に込み上げる吐き気を元に戻そうとし、でも、間に合いそうにないと思った瞬間、吐き気に拍車がかかって……。



必死に耐えながら、あまり頭を動かさず、目だけでトイレの表示を探した。



トイレのマークの横にある「改札外」の文字。ダメだ。神は私を見放した。そう思った。



しかし、それと同時に、吐き気はスーッと、霧でも晴れたように失せ、朝食べた6枚切りのトースト1枚と、ココアは胃に留まり、代わりにフーッと安堵の息が漏れた。



そして、ホームのベンチを見つけ、千鳥足で近づき座ると、ため息と疲れ、冷や汗がドッと出た。