コンピューター室には、幸いなことに誰もいなかった。
鍵も開いている。これは私にとっては願ったり、叶ったりの状況で、まるで私のこれからの計画を後押ししてくれているみたいだ。
ホワイトボードの前に置かれた先生用のパソコンのデスクの下を覗き込むとビンゴ。Wi-Fiのルーターがあった。
パソコンデスクの下に潜り込み、スマホのライトを照らして、ルーターに書かれたパスワードをスマホのメモ帳にメモする。
パスワードは、英数字のランダムな羅列だった。
それを見た瞬間、私は不安になった。
このルーターに書かれているパスワードはあくまで、ルーターの初期のパスワードで、もしかしたら先生の方で覚えやすいパスワードにしているんじゃないかという不安だ。
そもそも、そんなことができるかどうかは知らないけど、もしそれができるなら、誰だって覚えやすいパスワードに変える。
こんな英数字の羅列を書いたメモをいちいち見るよりも、その方がずっと効率がいい。