「わかったわ」

「彼の通る道とかはわかっているから、お姉ちゃんは何にもしなくて大丈夫よ」



 そして、当日が来た。

 真由が指定した場所に立つ。

 目を閉じた。

 自分の意識が入れ替わるのがわかった。

 わたしの体は真由のものになった。



「?」

 まるで目が覚めたような感覚があった。

 起き上がって周りを見渡す。

 見慣れない部屋。

 多分、ここは真由がいっていた彼の、和馬の部屋だ。

 隣で誰かが動く気配がした。

「起こしちゃった?」

 気づかれてはいけない。

 そう思いながら、彼に問いかけた。

 和馬が慌てて布団を捲って確かめている。

 きっと酔った勢いで自分を襲ったかと思っているのだろう。