まだ肌に残っている熱。

 彼と会っていたのは、自分であって自分でないのに。

 わたしに中にいたもう1人の感情が今も胸に残っている。



 それは突然に起きた出来事だった。

 眠ろうと思って、ベットに入った時に何かの影を見た。

「え?」

 人の形をしていた。

 自分によく似た姿だった。

「久しぶりだね、お姉ちゃん」

 真由だった。

「本当に真由なの?」

「うん、そう。驚かせてごめんね」

「あなた、まだ彷徨っていたの?」

「急にあんなことになっちゃってでしょ?だから心配でね、彼のこと」

 真由は1年前、不慮の事故でこの世を去っていた。

 だから、目の前にいるのは霊の状態の彼女だ。

「彼って、あなたが付き合っていた和馬くんとかいう子のこと?」

「そう。彼はまだわたしのことを忘れられないみたいで。だから中々向こうの世界にいけなくて、ずっとこのままなの」

「そうか。で、あなたはどうしたの?」
「彼に会いたいの。会って話がしたい。今のままのわたしだけじゃ彼にも会うことができないし、話をすることができないから、お姉ちゃんに協力して欲しいの」

「協力って?」

 そのあと彼女のお願いを聞いた。