「真由・・・じゃないんだな」

 彼女がこちらを振り向いた。

「気がついちゃったんだね」

 その瞳は悲しげで。

「騙すつもりがあったわけじゃないんだよ」

 こちらに近づいてくる。

 ベッドから起き上がった俺は彼女に抱き締められていた。

「どういうことだ・・・」

「今から、本当のことを話すね」

 彼女の両腕の力が強くて、顔を上げることが出来ない。




「今のわたしは真由でなく、美由。でも、昨日あなたと会ってたのは真由よ。彼女に一晩だけ身体を貸すことを頼まれたの」

「何だって?」

「わたしと真由は双子の姉妹なの。だから表面的には何も変えることは必要なかったし」

 真由、いや美由の話をまとめるとこうだった。

 一昨日の晩、美由の枕元に真由が来たというのだ。

 俺のことをずっと心配していたらしい。

 そう、彼女はもうこの世にはいない。

 一年前に俺の目の前から消えてしまった。

 あの日から永遠に。