「…あ、いの」
「…お父さん。」
目を丸くした両親が私を見つめる
正面から両親を見たのはいつぶりだろう
正面から言葉を交わしたのはいつぶりだろう
「…修也の家に行きたい」
身なりを完璧に整えて
私は立っている
昔みたいな服装
そして、微笑みで。
両親2人とも顔を見合わせてキョトンとしている
そして、怒った様にカッと顔を赤く染めた
しかし、私はそれすらも遮る
「ごめん。時間がないの、
私は行かなきゃいけない。
2人の言いたいことはわかるし怒りたい気持ちもわかる
だけど、お願い。
一緒に 来て下さい」
頭を深々と下げればお父さんの低い声が頭上から降って来た
「…話を。しよう」
「帰って来たらね」
お父さんの言葉の後に続いてお母さんが微笑む
…よかった…
私は
私たちは
たった4文字「行きたい」と言った私の言葉だけで
何日も避けて
避けて
避けて来た家の前に
足を踏み出すこととなった

