修也はごめんと笑ってから私の手に触れた


「誕生日、おめでとう」



低くて甘い声
私の大好きな人



「うん!」




今日は私の誕生日。


誕生日すらも会えないと落ち込んでいた時に届いたメールは飛び上がるほど嬉しかった。



姿を見た瞬間、
愛しさが込み上げて。



今の修也の言葉に
涙が出そうなくらい嬉しくなった。



耐えきれなくなって、私は修也に飛びつくようにして抱きしめた


…好き。


「ははっ、そんなに喜ぶなって」


なんて言いながらも修也も笑ってる。

抱きつく私の頭をポンと優しく撫でて修也は徐ろにカバンを漁った。

取り出したのは小さな箱
修也の片手に乗るくらいの小さな箱


「…それ…?」


驚いて抱きしめる手を緩めると修也がその箱を開けた


箱の蓋があって中身はまだ見えない

「目、つぶって」

「…?うん」

プレゼント、かな
そんなのいいのに…修也がいてくれるだけで。
とは上辺だけで
正直すごく嬉しい


プレゼントを置けるように両手を差し出して私はいわれるがまま目を瞑る

…なんだろう

少し時間が経って
私の顔に何かが覆いかぶさった

“それ”と唇が触れる
驚いて目を開けると修也の顔がびっくりするほど近くにあった


修也は少し赤い顔ではにかむように笑って
もう一度


「誕生日おめでとう」


…って。

そこで私はキスされたことに気づく
心臓がぎゅーって苦しくなって

叫びたくなった


嬉しさでいっぱいで何故かポロポロと涙が溢れた

「おいおい、ちゃんと見ろよ。自分の胸元。」

そう言われて目線を下に落とすと

キラキラ
キラキラ

輝く小さな星。
否、宝石が胸元に飾られていた。

キスに気を取られているうちに修也が付けてくれたらしい


「ネックレス…」

普段アクセサリーをつけない私でもわかる

これ、絶対高価なやつだ



「なんで…?こんな。高そうなやつ…」
私がそう言うと修也は苦笑いを零す


「ほんとそれ。すげー高いんだよ」


その言葉にびっくりして私は身を乗り出した

「なんで…!?そんな高価なやつ私はいいのに…」

興奮したような私の手を修也が優しく握った

「好きだよ。
お前のことが何よりも。
そんな高いアクセサリープレゼントするくらいには、な

……それ、高いから。一生大事にしてな?」

『高いから』修也の甘い言葉の後のそれは照れ隠しにしか思えなくて。
つい頬が緩む

一生って
こんなにも重い言葉って知らなかった

「えへへ。一生大事にする」

私はそう言ってあなたを
修也をもう一度抱きしめた