「くじ引き、かぁ…」
修也考案のくじ引きで四人一組を作り
一階の生徒玄関から入り
二階をまわって
三階の男女両方のトイレに置かれた紙を一枚とって
四階の三年の私たちの教室に設置してあるシャーペンで名前を書いて黒板に貼る
そして同じルートを通って帰ってくる
というものだった
トイレにある紙はいずれか一枚でいいやら
なんやら
細かい説明を受けた後
くじ引き用の箱を持って修也がまわる
進と修也は仲が良くて
みんなは進と同じくらい修也を信頼して自然と引き寄せられるように近づいていた
私は、そんな力はなくて
中一の時にできた友達とどうにか続いていたくらい
影の影で過ごす私にはあの集団が眩しく感じていた
それでも修也は幼馴染で大切な人ということには変わりなくて
隣にいることに違和感を感じていても
隣を譲るつもりはなかった
彼女の愛妃ちゃんが簡単に奪い取ってしまうまでは。
私のところにくじがまわってきて手を突っ込んで引く
その後に修也と、愛妃ちゃんと、進がくじを引く
最後は変なイタズラを仕掛けないようにと
修也が言ったため進が引くことになっていた
「…4…だ」
二つ折りにされた紙を開くとその真ん中には大きく数字の4が書かれていた
「…お前、4じゃん」
上から声をかけられて振り向くと修也がニヤリと笑って立っていた
「俺も4〜」
ヒラヒラと見せられた紙を見ると確かに同じ字が書かれていた
…もしも、
愛妃ちゃんが4じゃなかったら譲ろう…
カップルの少ないクラスの私たちは
何故か付き合っている人同士を仲良くさせたがった
カップルがあれば譲る
裏でそんなルールがあって
従ってしまうのは自分でもどうしてかわからないけど
流れに任せるまま
私は人に譲ることを惜しまなかった
「…修也と、いっしょ」
ポツリとこぼれ落ちた言葉を消し去るように高い声が響いた
「えー!進4なの?あ、修也も?」
声の先を見ると愛妃ちゃんがきゃあきゃあとはしゃいでいる
…もしかして、愛妃ちゃんも4?
最後から数えて4人が全員引いたくじが4だなんて
まさか、いたずら?
修也の…?
修也が愛妃ちゃんと一緒に回りたいのはわかっても修也が私や進と回りたがる理由が見つからない
偶然…かな
私はため息をついてはしゃぐ3人に近寄った
「ねぇ、私怖いの苦手なんだよね。藍乃ちゃん、何かあったら守ってね?」
笑顔で腕を組まれて顔がひきつってしまった
「…う、うん」
私も怖いの苦手だけど…
でも、頼られて悪い気はしない
愛妃ちゃんも4でよかった
譲らないといけないことにならなくて。
そう思うと同時にカップルと、しかも修也と同じ班であることにモヤモヤする
…あれ…?
でも、愛妃ちゃんに私が4だって教えたっけ…?
腕を固く組まれそれどころではなくなって
くじ引きで決まった組が集まると1から順に
中に入っていった
3の班が入った直後、修也が私達に言った
「あ、…悪い、トイレに行ってくるわ。
飛ばしてもらってて」
そう言って走って行ってしまった
「…4〜早く行けよー」
5の班。
私たちの次の班に
背中を押されて反論する間も無く
学校に足を踏み入れた
「…修也、行っちゃったけど…
どうする?」
愛妃ちゃんが両手を胸の前で握る
進は朗らかに笑った
「先に行っとくか。飛ばしといてとか言われたけど、もう遅いし」
懐中電灯をつけて進は順路を歩き始めた
その後ろを愛妃ちゃんがついていき
最後に私が歩く
自然と何故か
そういう順番になった

