「うあぁぁぁあ…っ!」
もう動かない体を抱きしめて
私は泣いた
もうひとりの自分を抱きしめて泣いた
カチャン…
抱きしめたおかげでポケットから何かが落ちた
一瞬でそれに目を奪われる
…懐中時計…?
もうボロボロになった懐中時計を拾い上げると
その針は止まってしまっていた
けれど、…それよりも
…何で私の懐中時計を乃々が持っているの…?
適当に持って来たカバンを漁ると
けれど確かに懐中時計があった
私と同じもの…?
否、そんなもの売っていなかった
この時計はあの店の“オリジナル”だと思うし
2つあったとしても買っているそぶりなんてなかった
私は自分の懐中時計のボタンを押して時間を見ようとした
開くと
壊れたのかグルグルと勢いよく
“左回り”に回っている
カチカチと時間を刻む方向が逆になってしまっている
と、そこで思い出した
「…懐中時計じゃなくて…鏡時計だ…」
まだ涙が目に溜まっているのに
考えることがやめられない
少しずつ冷たくなっていく躰から手を離すことはないのに
…カチッ
時計が逆方向に時間を刻み
私は気づいてしまった

