「年越しそば作るぞー!」


「「「おー!」」」

私のお父さんの掛け声に私たちは大きく握り拳を空に突き上げた

お父さんと私を含め4つの握り拳が天井に向かって伸びている



「待って、愛妃ちゃん!それ、そのまま切るつもり!?」
「え?!ダメなの?」



「あ、ちょっとお父さん!こたつで丸まってないで手伝ってよ!」
「んー…」



「ちょ、進。分量多すぎ!」
「まぁまぁ。大丈夫だってー」



包丁の刃先を下に握ってネギを掴みプルプルしている愛妃ちゃんと。

一向にこたつから出ようとしないお父さんに声をかけて。

目分量はありえないほど適当な進を止めながら。
私は年越しそば作りに精を出していた



正直呼吸をする暇もないくらいに忙しい。




お母さんはお母さんでおせちを作っていて、

年越しそばは4人に任されたというのに
実質私1人で作るより大変な気がしてきた。


それでも
「あー!まって、まって。お湯はそこに捨てないで!」

叫んで

「あ、進。醤油服に飛んでるー」「嘘だろ?!」

笑って。

きっと1人で作るよりも楽しい。と、思う



しばらくしてやっと出来上がった年越しそばは

お母さんも含め5人で食べたけれど…

今まで食べた中で






一番不味くて






一番美味しかった