「アイボンしません?」

そう言って、将はポケットから携帯用のアイボンを取り出す。

「自分が使った後はきちんと洗ってるんで大丈夫ですよ」

将も杏色も、あたしにとても良くしてくれる。
嬉しさと同時に、胸に罪悪感が現れる。


粋香(すいか)ちゃん、ごめんなさい。
本当にごめんなさい。


ある日、あたしはオーナーから、ウォークインでジュースを補助してくれるよう頼まれた。

ウォークインの中はすごく寒くて、作業を急いで終わらそうとしたのだけど、出来なくてあたしは倒れ込んでしまった…。

目が覚めると見慣れない部屋の中にいた。

「あ、気がついた?」

それは将だった。

「あれ…あたし…?」

「覚えてないですか?
ウォークインで倒れていたのを俺が見つけたんです」

「あれ、オーナーは…?」

伯父の話になると、将の顔色が曇る。