「それ気にしなくていいからさ」

「うん」

「今北川いないなら、帰り道だけカイロになって?」

「あー、いいよ」

須藤は自転車のハンドルに乗せてた片方の手を
あたしに差し出した。

あたしは自分の手をそれに重ねた。

「須藤の手は、そこまで冷たくないね」

「あー、まあ、冷え性ってわけでもないからね。
ただ寒いだけだよ。」

「最近特に寒いからねー」

そんな話をしながら、その日は須藤と一緒に帰った。