...それとも、北川のお願いだから?

好きな人に弱い、いいように自惚れている自分がいやになる。

...北川は王子様。あたしは王子のカイロ。
北川はあたしのことなんて、カイロ代わりとしか思ってない。
北川にとっては、あたしなんか、恋愛対象にならない。

そう言い聞かせて、苦しかったけど
やっと王子の手を握り返すことができた。

「...これが罰?」

「そうだよ」

「...罰になる要素がどこにもないけど」

「授業に集中できないから罰になるでしょ?」

...え、ちょっと待って。
なんで授業に集中できないってわかってんの?

まさか、気持ちバレてる?

動揺を悟られたくなくて

「...集中できるよ...」

と、嘘をついた。

「や、さっき集中できないって自分で言ってたじゃん」

え。

「...口に出てた?」

「うん。ばっちり」

やば。恥ずかし。

その日は1日中、(もちろん授業中も)
王子のカイロになっていた。