隣の席の北川惺君は、
この学校の王子で、

「...片瀬、カイロちょ」

冷え性だ。

「...はい、どーぞ」

「え、あったか」

「そりゃカイロだからね笑」

「じゃなくて、」

そう言って、彼はあたしの手をとり

「片瀬の手が、あったかい」

と言った。

...確かに体温高い方だけど。
あたしは少し動揺して、

「そうかな」

と無難な返事しかできなかった。

あたし、片瀬夏乃は、そんなことであたしなんかに
話しかけてくれる、北川君が好きだ。

「...決ーめた」

「何を?」