溺愛歌姫

「ところで、色々と聞きたいことがたくさんあるんだけど唄ちゃんはなんでここに?しかも、要と…なんて何かあるの?」


隼人さんが、念の為。といった感じで聞いてくる。


「今日この街に引っ越してきて、
子供の頃よく遊んだ思い出の公園にいたら
要が、仲間にならないかって声をかけてくれて……。」


チラッと要を見ても寝ている

誘ったのは要なのに、あとは人任せなんて。


「要ッ!」

「ちゃっと待って唄ちゃん。
要は寝起きがめっちゃ悪いんだっ!!」


隼人さんは、恐ろしい

といった表情で言う。


「起きてよっ!
誘っといてあとは人任せなんてあり得ないでしょ?」


要の顔を抑えてハッキリと言った。

みんなは驚いた顔をして、口をあんぐり開けていたが


「ん……悪い、もう遅いから送る。」


そういって優しげな表情で手をポンっと頭に乗せる。

それを見るとさらに、大きな口を開けて驚いていた。


「ううん、大丈夫。家族が迎えに来てる」

「そうか、気をつけて帰れよ。」

「うん、今日はありがとう。おじゃましました」


ぺこりと一礼をした

ドアを閉めた時にみんなの表情を見たが

隼人さん以外は先入観やら偏見やらで

警戒心を解くのが難しそうだ……と思いながら

この部屋を後にした。