「佐伯 唄(サエキ ウタ)です。あなたは?」
俺の事、知らないのか
まあここに住んでなかったら……知らないか…?
「俺は桐生 要(キリュウ カナメ)」
「きりゅう…知り合いにいたなあ……。」
懐かしい、といった表情で目を細める
俺はもう、この唄という女に興味が湧いて仕方なかった
そして俺の勘が言っていた
こいつなら、俺の仲間を癒してくれる
俺の傍にいて欲しい。
俺は、コイツが欲しい。
「お前…さ」
ほぼ初対面の女だ
だが、俺の勘は絶対外れない
「俺らの仲間にならないか。」
姫なんてそんな立場より
もっと、もっと近く
考えるより先に口からその言葉はでていた。
「え?」
唄はよくわからないといったような表情をする
「俺は紫龍(シリュウ)という暴走族の総長だ。
悪い奴はいねえ、みんないい奴だ。
少し昔に問題があってトラウマを抱えてる奴がいるが……。」
「紫龍……ねぇ?」
クスッと唄が笑う。
「居場所は変わらないんだね」
なにをいってるんだ?
今度は俺がよくわからないといった表情になる
「仲間に、してくれるの?」
綺麗な声で俺に問いかけた
この声は1度聞いたら忘れられないだろう。
