私は今年、中学生になった。
今日は入学式だ。

「席、ここやんな」

座ったその時、ほっとした感覚に襲われた。
ついこの間まで小学校で虐められていたため、やっと逃げられた感触が妙に心地よかったのだろうか。

そうして色々考えていると、
おとなしそうな女の子が声をかけてきた。

「えっと…19番なんやけど…隣…やんな…?」

私はうん、と首を縦に振った。


その子は座った途端、私に声をかけてきた

「名前、なんて言うん?」
「山本沙織。そっちは?」
「大和日向子。よろしく」
「よろしく」

これで終わると思った。
だが違った。

「あんな、ひなさ、今日コンクールでさ、審査員の目がなくてさぁぁ、二位やってん」
「そうやったんや。でもすごいやん、2位って」

嘘だ。表情と黒目の動きですぐにわかった。
こいつは嘘つきだ。
自分の中で何か大きなレッテルを貼った気がした。