「ねぇ、センパイ!」

「続いては演劇部です。張り切ってどうぞー!」

出番だ。
ボクはそっと姫の手を取る。
「それでは参りましょうか?お姫様。」
「ええ。

・ ・ ・

「「愛してるよ、幾多の時が過ぎようとも、ボクの心は変わらない。」」
「「ギルバート様…。私もお慕えしておりますわ」」


―――パチパチパチッ。

幕が閉じ、拍手の音で我に返る。
体育館は歓声の嵐だ。

よかった。無事演じきった。

「かっこよかったよ!暁おーじ!」
「もーえかー!ありがとーー!!!」
一気に緊張がほぐれ、思わず萌花に抱きついた。
「萌花が魔法をかけてくれたおかげだよーーー!!!!」
「そんなことないよぉ〜暁くんが頑張ったからだよ〜!!……魔法なんてかけなくても暁くんは王子様なんだけどな」
「ん?何か言った?」
「ん〜ん。なんでもない♡ぎゅーーー!!!」
ううう。萌花可愛い!!
アタシが男だったら絶対告白してるよ。

「着替えに行こ!暁くん!」
そうだった。まだ舞台の片付けがある。
役者は一旦部室で着替えてから体育館に戻らないといけなかったんだった。