「これより部活動説明会を始めます。」

4月。
新入生歓迎会が終わり、いよいよ部活動説明会だ。

アタシ、相澤 暁はこれでもレッキとした女の子。
例え、身長175cmで、中学の頃は3年間バリバリ男子に混ざり、柔道部で練習してきたせいで高2の今でもシックスパックだったとしても、至ってどこにでもいるごくごく普通の女の子である。

誰になんと言われようと、異論は認めない。

ってことはどうでもいい。
アタシは去年、この部活動説明会で、観たあの人の演技を見て演劇部に入ったんだ。
だから今年は、アタシ達の演技を見て、去年のアタシの用に少しでも演劇に興味を持ってもらうために、一段と気合いが入ってるんだ!!

「司会が変わりまして、わたくし放送委員長の平 伊織と副委員長の山里 沙奈が担当させていただきます。 」
あ、平先輩だ。
さすが、良い声だなぁ…。

平先輩は放送委員会で同じ当番なのでよく話すんだけど、少しクセのある人なのだ。

「誕生日は9月10日。乙女座。AB型。身長178cm、体重は…内緒。」
ん?
「家族構成は、祖父・祖母・父・母・姉・雑種犬のマングースです。」
え、平先輩、犬にマングースって名前つけてるんすか??
「趣味は盆栽と俳句で、最近ゲートボールがマイブームです。」
おじいちゃんかな???
「た、平くん!!!…ゴホン。失礼いたしました。我が校では数多くの部活があり」
うわぁ、沙奈先輩も困ってるよ…。
さすが平先輩。良い声でマイペースな事言うな…。
「え、なにあの先輩。」
「めっちゃ個人情報話すじゃん。」
「オレさっきあの先輩が落ちてるビニール袋に向かって『おいで〜』って言ってるところ見たよ。多分猫かなんかと思ったんだろうな。」
「天然なのか?電波なのか??」
新入生もめっちゃ動揺してるじゃん!!!
そりゃそうだよね、常にあんな感じだし…。