先輩。


体育館に戻ると誰もいなかった。

暗い体育館の中に一人。

「わ、暗くて怖いな…」

練習着を部室に置いて帰ろうと
体育館の靴箱に行った時気づいた。

「…高橋先輩!?」

「遅いよ、」

「待っててくれたんですかっ…」

頬が熱くなる。

「ほっぺ真っ赤だよ?大丈夫?」

そう言ってほっぺたに先輩の手が触れる。

その何秒後かに
唇になにか柔らかいものが触れた。

「…!?」

柔らかいものが離れる。

「先輩…?」

ファーストキスだった。

「あ、ごめん。俺…」

「…かえ、りましょ。」

「うん。」

気まずい雰囲気が流れる。

「送ってくよ。」

「あ、大丈夫ですよ先輩!」

「いや、女の子でしょ?送ってく!」

「ありがとうございます!」


それからは気まずくて話せなかった。