君だから。



「ははっ。何それ、矛盾してるじゃん」


「やっぱり?」


そういえば、前に凛にも言われたなぁ。


「意外だなー。苦手そうなのに」


「え、そう?」


「葵ちゃん、大人しいからこういうの苦手だと思ってた」


「そっかぁ。そんなイメージだったのかぁー」


じーっと目を細めて晴翔くんのことを見つめる。


すると、慌てたように


「えっと、ごめん!何か悪いこと言っちゃった!?」


なんて、必死になって謝ってきた。


冗談だったのになぁ。


そんなことで怒らないよ?


だけど、そんな晴翔くんの姿を見てると誠実な人なんだなと思えた。


「怒ってないよ。冗談だから。おどかしちゃってごめんね」


このまま、黙っていたら必死な彼に悪いことをしてるみたいで、起こってないことを伝えた。


「え、まじ!?びっくりしたー。嫌われたらどうしようかと思った」


「えへへ、ごめんね。嫌いになったりしないから」


「ほんと?」


「うん?」


えーっと…。


頭の中がはてなマークでいっぱいだ。


「葵ちゃんは俺のこと嫌いになったりしない?」


そう言った晴翔くんの顔はどこか切なげで、さっきまでのテンションとは全く違う。