君だから。



何とか返事をするけど、今は平常心を保てそうにない。


それは、今日の葵ちゃんがいつにも増して可愛すぎるせい。


花柄のワンピースにくるくると巻かれた髪を二つ結びにしている。


制服とはまた違った可憐さがあって、見とれてしまう。


いつも、ドキドキするけど今日は特にやばい。


隣にいると落ち着かない。


ほんっと、俺って女々しくね?


「葵ちゃんも早いじゃん」


「あ、えっと、楽しみにし過ぎて早く来ちゃった」


照れくさそうにそう言ってる葵ちゃんの横顔にドキッとする俺の心臓。


あー、早く誰か来てよ。


でも、まだふたりでいたいとか思う矛盾した感情。


そんな気持ちを隠すように葵ちゃんに話しかけた。


「葵ちゃんはさ、私服いっつもこんな感じなの?」


「えっと、うん。お母さんが選んでくれたの。変だったかな?」


お母さんめっちゃ、センス良くね?


「いや、全然っ!似合ってるよ。すごく」


「ほんと?よかったぁ。なんか、お母さんがすごく張り切ってて髪の毛も巻いてくれて、お化粧も…」


また、俯いて恥ずかしそうにする葵ちゃん。