君だから。



「え?」


「え?」


神崎くんの突拍子もない質問に私たちの声は重なった。


「えーっと、付き合ってないです」


晴翔くんは困ったように頭をくしゃくしゃとしている。


「なんだ、付き合ってないのか。じゃあさ、俺なんてどう?」


ん?どうとは一体?


私がきょとんとしていると神崎くんは続けて言った。


「俺、七瀬さん結構タイプなんだ」


「なっ…」


凛がキッと神崎くんを睨みつけた。


「ちょっと、葵に変なこと言わないで」


「変な事じゃないってマジメマジメ。」


「どこがよ」


「そうだよ!葵ちゃんは好きな人いるんだから!」


「えっ?」


ちょっとまって。


友里奈ちゃんも加勢してきて私はだんだん話についていけなくなった。


「私、好きな人いないよ?」


「葵ちゃん」


梓ちゃんは口に指を当てしーっと私にジェスチャーをしてくる。


「もー、葵ちゃんは鈍感なんだから〜!でも、そこもかわいい」


えっと、私はどうすればいいんだろう。


とりあえず、


「神崎くん、よく分からないけど、ごめんなさい!」



丁寧にお辞儀をして断った。