君だから。



「お兄さんと仲いいんだね。羨ましいなぁ」


「えー、喧嘩ばっかしてたよ!ゲーセン誘われて行ったのになんで、お前の方が上手いんだよ!って文句言われたよ」


「それは、理不尽だね…」


「でしょ。ほんと困っちゃうよね」


でも、そんなことを言いながらも嬉しそうな晴翔くん。


なんだかんだ言っても仲がいいのかも。


「ほんと、困った人なんだよ兄貴は。会う度に彼女が変わっててさ、なんか、そんなのを見てると、ああいう風にはなりたくないなって思う」


まあ、悪い人じゃないんだけどねーと晴翔くんは笑いながら言うけど、どこか切なげな顔をしていた。


何かあったのかな?


でも、その先は私が簡単に踏み込める問題じゃないので、ただ黙って聞いていた。


「あー、ごめん。なんか、愚痴っぽくなった」


「ううん。大丈夫だよ」


「あと、今日の朝もごめんね。困らせたよね」


え、朝のことまだ気にしてたんだ。


晴翔くんは意外と真面目だなぁ。


「でも、あれ本心だから」


「えっ!?」


晴翔くんは真面目な顔でサラッとそんなことを言った。


そう言った晴翔くんに悪気など全くなく、素直な人なんだと思った。