写真を現像したいと
じいちゃんに頼んだ。
俺が撮った写真。
やっぱりあかねは
無表情だった。
現像して涙がでてきた。
あかねは、もういない。
涙がでたのには、
もう一つ理由があった。
俺が撮ったあかねの写真。
そのほかに、
もう一枚写真があったのだ。
あかねが
自分で自分を撮った写真。
あの写真嫌いのあかねが、
自分で撮った一枚。
夕方に撮ったのだろう。
茜色の夕日も写っていた。
あかねは、笑っていた。
頬を茜色に染めて。
幸せそうに笑っていた。
初めて見せてくれた、
あかねの可愛くて、
幸せそうな「笑顔」
俺はこの「笑顔」が、
見たかったんだ。
死ぬまえに
笑うことができたんだ。
笑って逝けたんだ。