2日後、

俺は、
写真を撮りたいと
あかねにもう一度お願いした。

「あかねのことを撮りたいんだ。」

「うん。」

「撮っていいの?」

「生きていた証になるから」

俺は、
あかねを抱きしめて泣いた。

俺は、
あかねを好きになっていた。

いや、
きっと会ったときから好きだった。

あかねも泣いていた。

あかねは、
前に抱きしめたときより痩せていた。

「きれいに撮るからな」

「美人に撮ってよ!」

あかねは綺麗だ。

「それはムリかな、だって素材がなぁ」

「あー、サイテー朝陽のバーカ」

初めて名前だけで読んでくれた。

「あかね、あかね、あかね!」

「なに?何回も呼ばないでよ」

俺はうれしかった。

悲しかった。

レンズをのぞくと、
あかねの不安な気持ちが伝わってきた。

いつか、
じいちゃんに言われたことを思いだした。

「はい、チーズ」

パシャッ!

「写真家は、はい、チーズなんて言わないわよ。」

「え、そうなのか?」

「もう、朝陽は何にも知らないんだから。」

この写真が
俺があかねを撮った最後の写真だった。

あかねは、
死んだ。

じいちゃんは、
涙がでなくなっていた。