次の日、

病院に行くと、

あかねは、相変わらず無表情だった。

「永沢朝陽、リンゴが食べたい」

「あるじゃん。そこに、」

ベットの横には、

棚があって、

朝、じいちゃんが持ってきたぶどうやリンゴが置いてあった。

「むいてって言ってるの!」

「俺が?」

「他に誰がいるの」

なぜ、俺がリンゴをむかなきゃならないのか、

全く分からん。

病人だからしょうがないか、

「ほら、むいたぞ」

「へたくそー!ウサギの形がいい!」

女の考えていることは分からん。

特にあかねは。

「わがまま言うなよな」

不機嫌な顔、

無表情で、あかねはリンゴを食べた。

俺は今日、あかねを笑わせようと、

ピエロの衣装を用意してきた。

よく、ピエロが風船で動物をつくるあれだ。

あかねの心の傷を治そうとか、そんな大きいことは考えてないけど、

少しでも、あかねが楽しいと思ってくれるなら、

俺は、なんでもする。

いつの間にか、俺はひっしだった。

早速、着替えて病室に入ると、

「じゃーん!」

「・・・。」

「なんかリアクションしろよ」

「はずかしい」

恥ずかしいのは俺だよ。

あかねのためにやっているのに、

「わぁーピエロだぁー」

病室に子供が数人入ってきた。

ここに入院している子供たちだ。

「なんでピエロがいるのぉー」

「このピエロは、みんなに会いに来てくれたんだよ」

あかねが言った。

おいおい、

そんなこと言ったら・・・。

「ピエロさんあそぼー」

「ピエロ、なんかおもしーことしろよ」

「にんぎょうあそびしよー」

「ふうせんでなんかつくってよ!」

ほらみろ、

だからガキは嫌いなんだ。

「みんな順番にね」

あかねは、なんだか楽しそうだった。

これで笑ってくれたらなぁ。