遠い昔、トワラ星という一つの小さな星があった。
 カウン国、アントナ国、バルニア国、ルータイ国、シクノア国の五つの国が集まっている。
 そしてこのトワラ星には「星ノ民」の他に、「魔術ノ民」と呼ばれる「青ノ瞳」を持つ民たちがいた。
 彼らは、色々な「手当てノ術」など、人々のためになるような技術を持っていた。
 しかしその反面、獣を操ることもできたために「星ノ民」たちは「魔術ノ民」を恐れた。「魔術ノ民」を見れば、騒ぎ立て攻撃した。
 そしていつしか、「魔術ノ民」は「呪いノ民」と呼ばれるようになっていった。
 ある時、カウン国の王が「婚姻ノ儀」を上げると発表した。
 「星ノ民」全員が出席し、祝おうとした。
 だが、その王妃となるリヨン・カウンの目を見たその瞬間、民たちは一斉に戦慄した。
 リヨンの目は、「魔術ノ民」しか持たぬ目だった。
 光を反射して青く光るその目を、民たちは声もなく見つめていた。
 そしてそのすぐあとに、リヨンは王子となる男子を出産した。
 スフィルと名付けられたその子は、目の色も青ではなく、顔立ちもアーシュに似ていたために、民たちは安堵のため息をついた。
 その七年後、リヨンは王女となる女子を出産した。
 だが、予想外のことがおきた。
 シャラと名付けられた子はリヨンの目の色を引き継いでいたのだ。
 アーシュとリヨンは育てるべきかを、かなり長い間迷い続けたが結局育てることを決めたのだった。
 これでもう何も心配することなく全てがうまく行くと思われた。
 だが、シャラが四歳のとき、スフィルは父・アーシュと激しい喧嘩をし、勘当されてしまった。
 まだ十一歳だったというのに、スフィルはさっさと荷物をまとめてリヨンにもシャラにも何も言わずに、一人寂しく出ていった。
 そのまま行方をくらましたが、アーシュは探そうともしなかった。
 リヨンは毎日のように泣いていたが、時間が経つと徐々に立ち直っていった。
 だが、シャラのショックは大きいものだった。
 父と母は国を治めている立場だったために、シャラと共にいれる時間は昔から短かった。
 そんなときに一緒にいてくれたのは、側近のリーガンとスフィル だけだった。もちろんシャラは表向きはとても元気にしていたが、よく一人で泣いていた。
 そしてスフィルが出ていってからわずか一年後のことだった。
 アーシュはあっけなくこの世を去った。
 町に行幸していたときに暴走した馬車に轢かれたのだ。
 わずか三十歳という短すぎる命だった。
 その日から、リヨンは少しでもシャラと共にいようとした。
 礼儀作法、芸術、王家の定め、そして「魔術ノ民」の術もたくさん教えた。その禁忌もすべて…。
 シャラは多くことを学びながら、美しく成長していった。