すきっていって。



「先輩、なに百面相してるんですか」



あらぬことか、真悠くんがわたしの目の前で足を止めた!?



「無視ですか先輩」



信じられない。他の人からすればたった1週間でしょ!?と言われるようなこともわたしにとってはながい1週間だったし。


なにより、今まではわたしから会いに行っていただけで、真悠くんから会いに来ることなんてなかった。うん、思い返してみても1回もない。


それが今、たった今、目の前で起きている。


信じろって言われても信じられないよ!



「すみません、ちょっと先輩借ります」



麻衣奈たちに一言そう告げて、わたしの腕を掴んで歩き出した真悠くんは空き教室に入ったところで足を止めた。



「………真悠くん、あの…「先輩なんで最近俺のとこ来ないんですか」


「……え?」



わたしの言葉を遮って話し出した真悠くんは、信じられない言葉を発した。


真悠くんからわたしに会いに来ていることの時点で信じられないというのに、より一層信じられない。



「あ…なんで俺こんなこと…いや、こんなこと言いに来たんじゃなくて…」



真悠くん自身も発した言葉は無意識だったようで、少し…いや、多分これはかなり戸惑っている。


こんな真悠くんは初めてだ。