パン食い競走が終わり、すぐにコロッケパンを真悠くんに届けたいところだが、わたしは今忙しい。
何故かと言うと、パン食い競走の後すぐに応援団による応援パフォーマンスがあるからだ。
放課後頑張って覚えたダンス。
利世に教えてもらいながら必死に覚えた。
成り行きでやった応援団とはいえ、頑張ってやってきたことには愛着が湧く。
しっかりパフォーマンスして応援賞も勝ち取りたい!
なんだか朝よりも少しフラフラする気もするけれどそんなこと気にしている場合ではない。
応援席にパンを置いて、学ランを羽織ってすぐにまた並びに行った。
列に向かう途中で利世に呼び止められた。
「茉乃!お前水飲んだか?急いでるからって水分補給しないと」
「あ、忘れてた」
「一口でいいから飲んでこい」
「いいよ、今から戻ったら時間ないし」
「いいから飲んでこい、なんかお前今日危なっかしい」
利世に強めにそう言われて戻ろうと応援席の方に足を進めた。
けれどそのとき体育祭実行委員が“応援団早く集まってくださーい”
という声が聞こえて、応援パフォーマンス終わってから飲めば大丈夫だろうとすぐに列の方に引き返した。
