すきっていって。



「あ、相原ちゃんあれだよね、真悠に毎日告白してるよね」



せっかく真悠くんから声をかけてもらったのに、さっき席を立つ前になんで耳の穴かっぽじっておかなかったんだろうと後悔するわたしに原さんが言った。



「え?告白?」


「なんか廊下とかで見かけるときあるよー」



そう原さんが言うと、他の子たちも笑って会話に参加してきた。



「見かけるときあるし、あとは普通に噂になってるよな」


「真悠イケメンだからさ、女子にファンみたいなの多いじゃん?その子たちが最初は相原ちゃんのこと警戒してたのに、今ではあーあの子かくらいで片付けてるんだよね」



確かに真悠くんが入学して間もない頃から真悠くんを追いかけ続けていたわたしは、最初冷たい視線を感じていたし、あまりみんなからよく思われていなかったことは察していた。


でもちょうど5月に入ったあたりで、あまりそういう視線も感じなくなった。



「真悠のこと推し!って言ってる子でも相原ちゃんのことは怒らないから、すごいなーって思ってたんだよねー」



すごいすごいと言ってみんなは笑っていた。



「ってか真悠はそんなに言い寄られてるのにまじで1mmも脈ないわけ?」


「それここで言う必要あります?」


「逃げんなよー」



あんなにしつこく追っているわたしに真悠くんは本当に脈がないのか、という話題ですごく盛り上がっている。


いやいや、やめて!わたしまだ振られる予定はないはずだったんだから!


真悠くんがまた口を開く前に言わなきゃ!



「真悠くんがわたしに1mmも脈ないことは知ってる!でもお願い真悠くんまだ振らないで!わたしきっとまだ伸び代あるから!!」