委員会が行われる図書準備室に着こうとしているとき、その図書準備室から声が聞こえた。
わたしたちよりも早く来ている人がいるらしい。
クラスの担任の先生によってHRの長さが違うことがある。いつも早いクラスがあれば、遅いクラスもあるのだ。
琴ちゃんと今日みんな早いね、と話しながら教室の扉を開けようとすると、話し声がさっきよりもハッキリと聞こえた。
「しおり作りさ、ぶっちゃけめんどくない?」
「わかる〜、なんか用事何もない人は行かなきゃいけない雰囲気あるしさ」
「そう?わたし意外と作るの楽しいけどなぁ」
「いやめんどいだろ。俺結構サボって帰ってるよ」
「俺もたまにサボってるし、参加したときも大抵途中で帰ってるよ」
「やりたいなら委員長だけやってくれればいいのにな。みんなそんなやる気持って委員会やってるわけじゃないしよ」
委員の声。既に4人くらい集まっていて、きっとわたしたちがいることに気づいていない。
わたしは琴ちゃんより先に扉を開けてなるべく暗い顔をしないように笑った。
開けた途端、教室の中の声は消え、シーンとした空間の中でみんながこっちを向いていた。
「ごめん聞こえちゃった。しおり作りたいって言い出したのわたしだし、琴ちゃん悪くないっていうかさ、だから委員長だからって琴ちゃんのこと責めないでほしいっていうか…なんならわたしが悪いっていうかさ…」
わたしがなるべく笑顔を貼り付けながらも、しどろもどろになって喋っていると、パッとわたしの前に小さな背中が現れた。
「ご、ごめんなさい!みんなの意見ちゃんと聞こうとしてなかったのかもしれない、です」
琴ちゃんがわたしの前に立って謝っていたのだ。
「2人してそんな謝られたら、うちら悪者じゃん」
1人の委員が不満げにそう言う。
