夕餉の後





陽乃を浅野家へ送る道のり



「何話したのですか?」


「確認したんだ
バレてなかったよ」


「!!! 良かった~!!!」


「俺の嫁になりたいんだと」


「えっ!嫁なら、私がなります!
旦那様なら、土方さんでしょうけど…」


「旦那でもいいらしいよ」


「ズルイ!!!七桜は、両方とる気なのね」


「クククッ 陽乃、俺のどこがいいの?」


「/////全部です
まだ、嫌なところがないです!
あ!ありました!」


「なに?」



「七桜と口づけしたこと」


「あれ、口づけになんないよ」


「なら、私にも出来ますか?
七桜と男同士の口づけが出来るなら
私にも、女同士の口づ…」



軽く触れるだけの口づけを陽乃にする



「/////送って下さり
ありがとうございます」



バタバタと屋敷に入って行く
陽乃を見送った



「可愛いすぎ……」



〝男なら、陽乃みたいな子を好きになるのに……ごめん
土方さん以外に胸が高鳴ることもない
だから……これは、口づけじゃない
意味を持たないものだと思う〟










「見たで」




夜、廊下で星を見ていると
山崎がニヤニヤと声を掛けてくる


「ん?」


「平助が陽乃に口づけしてるとこや!」


「あー、またつけてたの?」


「ちゃうわ!通りすがり!
しかし、あんな往来で大胆やな!」


「見られても、烝くらいだよ」


「ま、せやろな」


「烝は、いないの?思い人」


「離縁した相手が今でも恋しいなぁ
事情があって、一緒におれんなってん」


「そう……」



「どないしたんや?」



「うーん、恋ってなんだろうって
なんで、俺の事好きでいてくれるのかな」



「嫌いになるときは、色々理由つけるけど
好きになるのは、いつの間にかやろ
やーめた!とかできひんもんやろ!」






〝凄くしっくりきた
土方さんへの気持ちがまさにそれ
いつの間にか好きだったもんな…〟