〝諦める癖〟


山南から以前、言われたことを考えていた



迷いながら訓練し、京の町を覚え

募集の締め切りが数日後に迫っても

答えを出せなかった





斎藤が先に京へ行った





急かされている感じがして
考えをまとめようと
屋根上に上がる




「平助様!上着を!
お風邪を召しますよ!」


陽乃が追い掛けて来た


「なぁ…陽乃」


陽乃が平助の隣に座り微笑む


「はい なんでしょう」


「不安でいっぱいなんだけどさ…
行きたい理由が1つあるんだ」


「聞いてもよろしいのですか?」


「俺さ…
尊敬してた人に手篭めにされたんだ…
なんで、気づかれたのか、わからねぇけど
辛かった 女なのが、嫌で嫌で
でも、同じ事を試衛館の人とした時
嬉しいと思ったんだ…
俺…その人が好きなんだって…
その人は、女の俺と俺が生き別れの兄妹と
本気で思ってて気づいてないんだ
……つまり
その……女の俺は、その人と離れたくないって思ってて、ついて行きたい
動機が不純すぎるかな?」


「私は、平助様をお慕いしております!
私がそんな理由でそばにいたら
平助様は、お嫌ですか?」


「嬉しいよ」


「ふふっ よかった!
平助様にお好きな方がいるのは
少しヤキモチですが
どんな形であれ、おそばにいたい気持ち
私は、良くわかります!」


「京に陽乃もきてくれるか?」


「あら!?置いていくおつもりでしたの?」


「いや、愛想尽かすかなって
心配だった…」


「安斐様の命は関係なく
私が、平助様を守りたいと思うのです!
生涯おそばにいとうございます!」


「陽乃!!良かった!!
決心した!!京に行く!!
不安だけど、陽乃や皆も一緒なら
どうにかなるよな!?」


「はい!なりますとも!!!」