〝あと… どれくらい
持ち堪えられるだろうか〟





平助の寝顔を見ながら、灯りを消す為
ふぅと息を吐く



土方の目から見ても
痩せて筋肉の減った体は
大阪に送った沖田よりも病に犯されている
余命幾ばくかという弱々しいものになった



最期まで、平助のそばにいることが
土方にとって、唯一の楽しみであり
希望だった




細い体を腕に収め



「おやすみ」



返事を待つように、耳を澄ます



「スースー」



規則正しい寝息に、口元が緩む





〝あったけぇ…〟








その夜




土方は、平助を助けた日の夢を見た


化粧気のない、娘が追っ手から隠れ
諦めようと目を瞑る



助けなければと無我夢中で棒を振り回し
見れば、一瞬にして恋に落ち
胸の高鳴りを隠し、勝手に唇を奪う



表情、仕草、声、唇



全てあの時と変わらない




翌朝、目覚め平助の寝顔を眺め
口づけをする




〝きっと… 早くに気づいていたら
藤堂平助でいたいんだって
俺を避けていただろうな…
京にだって来てねぇな…
そしたら…
もっと、生きてられたのかもな…〟






「ごめんな… 俺のせいで…」