ゲホッゴホッと盛大な咳

息をする暇もないほどに、次々と咳が止めどなく出続ける


沖田は、高熱で
意識が朦朧としていた



そんな沖田とは、正反対に
大人しい人形のような平助体の中では



〝くっそぉーーー!!!
どうなってんだよ!!!総司の背中を
擦ってやりたいんだよ!!!この!!
動け!!俺の体だろーが!!
俺のいうこと聞けっ!!!〟




すっかり、以前の元気を取り戻し
労咳のように、自身の中で暴れていた




水を入れ替えて部屋に戻った陽乃が



「部屋を分けた方が良いわね」



沖田の背中を擦りながら
平助の方を見た


食事も睡眠も辞めてしまった

平助の衰弱した体に労咳が移る恐れがある



〝ええー!やだよ!陽乃!
俺、総司と一緒がいい!!!〟



聞こえるようになった耳で
聞いたことに、懸命に反論する



〝はあ-!ったく!なんなんだよ!
ヘンな毒使いやがって!!!
ぜってえ、こんな毒、打ち消してやる!〟



城を出されたことと

新選組に戻れるという希望


何より、兄弟に会えたかもという
夢のような出来事を思い出し


〝俺は、藤堂平助だ
諦めない!!生きてんだ!!
死ぬまで藤堂平助でいることを諦めない〟




それからすぐ

見舞いにきた斎藤によって
隣の部屋に移された




〝一!! ダメダメ!!
俺、労咳とかならねえから!!
ね!あー!なんで!?伝わらねぇの?〟